HISTORY

マイクロモザイクの歴史

ミニアチュール(細密画)の伝統のあるヨーロッパで発達し、洗練をきわめていったマイクロモザイク。ローマのサン・ピエトロ大聖堂の大修復のためのモザイク技術が継承され、のちに記念品として風景や静物などが描かれてきました。


マイクロモザイクの歴史とは?

その起源は紀元前にさかのぼるといわれるモザイク装飾。石やタイル、貝殻などで絵柄や文様を表す装飾美術で、主に建築物を装飾するために発達しました。17世紀に行われたローマのサン・ピエトロ大聖堂の大修復の際にバチカンにモザイク工房が設置され、数多くの職人が誕生します。この当時は、まだ大聖堂の建築物修復のためのモザイク技術として継承されていました。

大聖堂の事業が完成した後、職人たちは稼ぎを得るために、持ち運びのできる小さなモザイクを施すことを考えました。そして生まれたのが装飾品としてのモザイク、マイクロモザイクジュエリーでした。1775年にGiacomo Raffaelliによって彼の工房に展示されたマイクロモザイク作品が、記録上の最初のマイクロモザイクであると言われています。

18世紀には、ヨーロッパの名家の子弟たちがヨーロッパの主要都市を訪れる「グランドツアー」が流行しました。今の修学旅行のようなもので、考古学的な遺跡の多いローマはとても人気がありました。ローマを訪れるイギリスの上流階級子弟がこぞって求める記念品としてマイクロモザイクは人気を博したのです。花や鳩と言った一般的に好まれる題材から、古代遺跡を描いたもの、民族衣装を身に着けた人物、牧歌的な風景など題材が多岐に渡っているのが特徴で、その当時の様子がモザイクとして色鮮やかに残されている点から、美術的な価値のみではなく、歴史的な価値もあると言われています。

今日、その一つひとつが大切に受け継がれ、その華麗な技術の傑作をご覧いただけます。

Giacomo Raffaerri ジャコモ ラファエッリの作品
*出典:I MOSAICI MINUTI ROMANI dei secoli XVIII e XIX  Massimo Alfieri / Maria Grazia Branchetti  ABETE-PETOCHI ROMA

グランドツアーを描いた絵画
*出典:ROMAN MOSAIC  Roberto Grieco – Arianna Gambino De AGOSTINI  RIZZOLI  arte&cultura

Giovanni Battista Piranesi ジョヴァンニ バッティスタ ピラネージ 版画
*出典:I MOSAICI MINUTI ROMANI dei secoli XVIII e XIX  Massimo Alfieri / Maria Grazia Branchetti ABETE-PETOCHI ROMA

Bartolomeo Pinelli バルトロメオ ピネッリの版画
*出典: MICROMOSAICI ROMANI ROBERTO GRIECO  GANGEMI EDITORE