CONCEPT

マイクロモザイクとは

マイクロモザイクとはテッセラと呼ばれる色ガラスの小片で静物や風景などの細密画を表現した美術工芸品で、ヨーロッパ文化の薫り高い装身具や小物などの宝飾品として、アンティーク愛好家に絶大な人気があります。


「マイクロモザイク」名称の由来

マイクロモザイクという名称を最初に使ったのはイギリス人の装飾美術品収集家でもあったアーサー・ギルバート卿であると言われています。マイクロモザイクはそれまでは一般的にローマンモザイクと呼ばれていましたが、古代ローマ文明の美術に対して使われることが多い名称だったことから、混同を避けるために新たにマイクロモザイクという名称を生み出したのです。そのため、今でもローマンモザイク、マイヌートモザイクという名称で呼ばれることがあります。
ギルバート卿は生涯を通してマイクロモザイクを収集し、世界一のコレクションを所有しました。そのコレクションは現在、ロンドンのビクトリア&アルバート美術館やアメリカのロサンゼルス・カウンティ美術館に展示されています。


マイクロモザイクの製作工程 TECHNIQUE

「テッセラ」と呼ばれるミリ四方の小さな色ガラスを幾重にも重ねて人物や風景などのモチーフを
描き出すマイクロモザイクの製作工程をご紹介しましょう。

  1. モザイクの基盤となるのは薄い銅板や不透明なガラス、スレートなどです。接合剤には石灰やトラヴェルティーノ(石材)の粉、亜麻仁油を練ったものを使います。
  2. 色のついたズマルトを火にかけ、柔らかくして細長く伸ばすのが「ズマルト フィラート」と呼ばれ、マイクロモザイクに使用します。
  3. 基盤に石膏を流し込み、固まったら絵の輪郭を描き写します。輪郭の中の石膏を取り除いて接合剤(パテ)を埋め込みます。
  4. 細長い棒状のテッセラをパテの中に埋め込み、絵を描いていきます。レベルの高い作品は約2.5センチ四方に5000本以上のズマルトが差し込まれています。

*出典:『ROMAN MOSAIC』Roberto Grieco – Arianna Gambino De AGOSTINI RIZZOLI arte&cultura

ローマのモザイク職人による技術で、18世紀から19世紀にかけて盛んに作られました。金属やガラスの枠に、神話の世界や動植物など様々な図柄をモザイクで描いています。また、豊富な色彩で緻密に表現された絵柄は、身につける美術工芸品として奥深い魅力を放っています。


マイクロモザイクの作品の種類TECHNIQUE